デザイナーとアーティスト(作家)の違いとは?クリエイターを目指したいあなたへ

デザイナーと作家の違いってなんだと思いますか?
諸説あると思いますが私はこう定義しています。

アーティスト:自分の世界を形にする人で、その世界にお客様を呼び込む人

デザイナーとはお客様の世界を形にできる人

クリエイターとはこの両方をいう。

 

ちなみに私はジュエリーデザイナーです。作家ではありません。「デザイナーって自分の作品を世に出したい、とかじゃないんですか?」と聞かれました。その時になんのためらいもなく、「私はデザイナーだからお客様の欲しいものを形にするのですよ」とお答えしました。

 

そんな私も昔は「アーティスト」を目指していました

絵を描いて食べていきたいと思ってデザイナーを志していた頃は、「自分のアイデアをジュエリーで表現したい」でした。私はコンペの強みがありまして、学生のときに出したコンテストで賞もたくさん頂いております。コンテストってテーマがあるものもありますが「自分を出す」なんですよね。まさにアーティストの分野です。

でも、3社目の業界No1ダイヤモンド専門店に入った時、本当に1年間全くエンゲージマリッジセットリングの社内コンペに通ることができませんでした。学生のときに出したコンテストでは賞もたくさん頂いていたのになぜ??って本当に悩みました。

1年後、初めて採用になったのは新規事業のティアラのデザイン。どちらかというとアーティストの分野に近いものでした。採用になったティアラが月9ドラマ「プロポーズ大作戦」で長澤まさみさんに着用され、本当に嬉しくて。

そこで初めて「着けてもらえる喜び」を知ったのだと思います。お客様目線でものづくりしていると思っていたけれど、全然できていなかったことに気がつきました。デザイナーと作家はちがうもの。でも、一人の中に同時に存在するのです。自分がどちらを強く出したいかなのではないでしょうか。

お客様(身につけて頂く方)に喜んでもらえるようにという目線で開発するようになってから社内コンペに通り出し、担当していた3ブランドでそれぞれ同時に売り上げNo1の商品を開発することができるようになりました。

私はアーティストでなくてデザイナーです、と意味を持って言い切れるようになったのはそれからだと思います。デザイナーと作家どちらが上か?と聞かれることもありますがどちらが上という問題ではありません。1人の中にどちらもあるのだと思います。ただ、お客さまとの関わり方が違うだけ。

 

作家(アーティスト)の方がオーダーを受ける際の注意

お客さまは作家(アーティスト)の方の作風を好きだなと思ってオリジナルを依頼する。でも「好き勝手」つくってもいい、ということではないのです。自分の世界を変更されたくない、のであればアーティストだと自覚してお仕事したほうがいい。

以前、HPのヘッダーを作ると言っていた方に依頼したら好き勝手作らせてくれないなら他に依頼して、と言われて閉口したことがあります。HPヘッダーってその人のページの「顔」であり「庭」です。それを勝手にいじらせろって、、、なんじゃそりゃ?です。お値段の交渉等も、依頼されたらされたほうがすべき。セミプロって一番面倒、と思った出来事でした。

 

デザイナーである私の考え

作家は「自分の世界を表現する」人がいて、その人の作風に惹かれてお客さまが集まってくるもの。デザイナーは「お客様ありき」そのお客様のニーズ(ご要望)の中でどれだけ素敵な提案ができるかが腕の見せ所。

お客さまの好みを形にするには、当たり前なのですが「ヒアリング力」が必要なのです。それも「頭で」欲しいものではなくて「心が」欲しいものを引き出す力。それができないのであれば「デザイナー」ではないと私は考えています。