どこに相談しても断られたピアス、お直しできます!熱を使わない修理の裏側

火を当てられないピアスのポスト折れ修理

「どこに持っていっても断られてしまったんです…」

そう言ってご相談にいらっしゃったお客様が手にしていたのは、まるで自分の一部であるかのように大切にされているピアスでした。レジンで作られた美しいモチーフに、シルバーのポストが埋め込まれているデザイン。

ポストが根元から折れてしまい「なんでも直します」とPRしている修理工房に、あちこち持ち込んでみたそうなのですが、ポストを溶接する際に 火を使うためその熱でレジンが溶けてしまうことから、どの修理工房でも「加工不可」と断られてしまったとのことでした。

諦めないで。ジュエリーデザイナーとしての修理アプローチ

職人として考えれば、「火を使えないものは直せない」となるのが一般的です。しかし、私はジュエリーデザイナーです。お客様の「お気に入りで自分の分身のようなこのピアスをもう一度身につけたい」という強い想いにお応えするため、職人とは違う視点で修理方法を検討しました。

ピンが折れたピアス表

お預かり時(表)

ピンが折れたピアス裏

お預かり時(裏)

火を使わずにレジン素材の修理が可能か検討する

通常、「ジュエリー修理加工」として承る場合は、このようなケースでは修理を断念せざるを得ません。しかし、私は、お客様の「どうしても直したい!」という強い思いにお応えするため、レジンや接着剤、補強パーツなど、火を使わないあらゆる加工方法を考え、最適なアプローチを模索しました。

レジン部分は樹脂なので熱を加えると変形・変色してしまう。ではレーザー加工でピンポイントに火を当てるのはどうだろう。でも万が一にも照射がずれてしまった場合に修正が効かない。火や熱を当てない方法で修理するにはどうしたらいいか、と頭を一度切り替えて
考えました。

その方法は「レジンはレジンでつけること」
片穴のパールが取れた場合には、ジュエリー修理でも特殊な接着剤を使いますが、レジンはレジンと相性がいいのです。
それを応用し、火を使わずに接着する方法をご提案し、それぞれの方法のメリット・デメリットを共有しながら、修理方針を固めてお見積もりし、ご了承いただいてから加工に入りました

修理工程:熱を使わずに、丁寧に、確実に

最終的に、次の工程で修理を進めることになりました。

1.皿付きポストの加工
まず、パール用の窪みのあるお皿がついたポストを用意します。
その窪みを、ピアスパーツのカーブに合わせて変形させました。
微妙なカーブですが、ぴったり合うように調整します。

2.ポスト根本の除去とポストの長さ調整
折れたポストの根本を確認すると、折れたというよりも抜けたようなあとがありましたので、レジン部分を傷つけないよう、慎重に削り取ります。その跡をひろげるようにして調整し、さらに皿付き芯のポストの先をちょうど合うように長さを整えました。

皿付きのピアスポストを加工

皿付きのピアスポストを加工

カーブに合わせて皿を調整します

カーブに合わせて皿を調整します

新しいポストの調整
接着の強度を増すために、皿の中を削って接着面を増やしました。
ご依頼者様はほぼずっとつけっぱなしにするとのことだったので、ちょっとやそっとでは外れることがないよう、許可をいただいた上で、パーツの内側と外側にも接着剤をつけて、強度をアップさせます。

これも通常ジュエリーでは、接着剤をはみださせることは良しとされないことではあるのですが、実際に使われるお客様の使い勝手が良いように、通常はやらないのだけどこういうこともできます、とご提案しご了承いただいた上で加工しました。

新しいポストの設置
:新しいシルバーのポストを、専用の接着剤とレジンを組み合わせた独自の方法で固定します。これにより、接着面を強力に補強し、強度を確保しました。

皿の中を削り、接着面を増やす

皿の中を削り、接着面を増やします

皿付きのピアスポストをはめ込む

皿付きのピアスポストをはめ込む

接着剤を盛り足して強度UP

外側にも盛り足して強度UP

修理後比較

修理前後比較

修理を終えて

修理が完了し、表面のデザイン部も少しクリーニングして綺麗になったピアスをお客様にお返しすると満面の笑みで喜んでいただけました。

「ありがとうございます、本当にうれしいです〜!!」

この言葉は、私にとって何よりの喜びです。単にモノを直すだけでなく、そのアクセサリーが持つストーリーやお客様の想いも一緒に蘇らせることができたと感じています。

修理完了

クリーニング後

ピンが折れたピアス表

加工前

ジュエリーの修理って基本、火を当てて修理するものが多いのです。
ピアスのポストが折れたりした場合なんて特にそう。
火を当てて加工できない素材の場合は修理をお断りする工房が
ほとんどなのですね。

でも、このピアスを持ち込まれたお客様は
本当にこのピアスが大好きで、自分の分身のような
つけていないと落ち着かないくらいのアイテムだと
おっしゃっていて、なんとか治せないかなと考えて
いろんな方法を検討し提案してご納得いただいた方法で
お直しすることができました。

「ジュエリーデザイナーだから」
「ジュエリーの修理ってこうだから」

ではなくて

「お客様のニーズに向き合う」ことを大切にしたら
こんな方法は一般的ではないけれど、つけられるようにすることはできる、という道が見つかる。

自分はこうしかできないから、でなく
お客様に向き合うことで見つかることがある。

お客様ファーストってそういうことなんですよね。

もし、どこに相談しても断られてしまった大切なジュエリーがあるなら、諦める前に一度、私にご相談ください。職人とは異なるデザイナーの視点で、あなたの大切な「分身」を蘇らせるお手伝いをさせていただきます

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